第6回 全国地域おこし 名人・達人サミット in 桶川・北本

子育ての悩みに寄り添う「NPO法人北本学童保育の会うさぎっ子クラブ」の活動

2024年10月25日

北本市内の7つの小学校には、敷地内にそれぞれ学童が併設されています。学童保育の立ち上げから、現在も市内の学童施設の運営を担っているのがNPO法人北本学童保育の会うさぎっ子クラブ(以下:うさぎっ子クラブ)です。今回は理事長の青柳さんと、職員の双木さんに、うさぎっ子クラブの成り立ちから特徴、今後の展望までお話を伺いました。

―うさぎっ子クラブはいつごろ設立したのでしょうか?

青柳:北本の学童はもともと、父母運営から始まりました。子どもの預け先を作って、自分たちが働きに出られる環境を作ろうっていう思いから、学童が立ち上がったんです。それが昭和50年ごろ。うさぎっ子クラブは、今年ちょうど50周年を迎えたとても古い組織なんです。地域の親御さんが子どもを預けたり、いろんな子育ての悩みを解決したり、というのがうさぎっ子クラブの活動の大元にあります。

―学童で子どもたちはどのように過ごすのですか

双木:学童を利用する子どもたちは、学校から帰ってきて宿題をして、あとは外遊びなどをして過ごします。午後3時半から4時ぐらいの間にはおやつの時間があり、設立当時から続けているてづくりおやつが特徴です。例えばハロウィンに合わせてパンプキンのものを作ったり、季節に応じていろいろなおやつを作っています。他にもお誕生日会や遠足、クリスマス会など、季節ごとのイベントも開催しています。

―子どもたちは自由に過ごしているんですね

青柳:一緒に生活をする感覚ですね。他の学童では、子どもとの関り方に厳しくルールを設けるところもありますが、うちでは特にルールを設けず、先生たちにはむしろ自分の得意なことを活かして子供たちに接してほしいと伝えています。うちのスタッフに理科の先生だった人がいるんですよ。彼は勝手に顕微鏡を学童に持ってきて、今日は葉脈をみてみようとかやりだして。それを面白がる子もいるし、そこからハマっていく子どももいる。手芸が好きな人、サッカーがうまい人など、学童の先生たちが個性を持っていないと、子どもたちも楽しくないと思います。

―青柳さんはいつごろ理事長になられたのですか

青柳:理事長になったのは、3年前です。娘が学童に通っていて、ちょうど小学校6年生の卒室旅行があったんです。6年生まで学童に通った子みんなで、ディズニーランドに遊びに行きました。その付き添いで、たまたま僕が同行することになりました。ディズニーランドについた先で、学童の支援員から「そういえば青柳さん理事長になってくれませんか」って言われて。それがきっかけで理事長を引き受けることになりました。

学童の運営に入ってまず思ったのは、圧倒的に発信が足りていないということでした。これだけ頑張っていいことをやっているのに、誰にもその頑張りが伝わっていない。利用者にもわかってもらってないし、対外的にも伝わっていない。なので、まず発信をしっかりしないと、と思いSNSやnoteでの発信を始めました。

―学童の他には、どのような取り組みをされているのでしょうか

青柳:子育ての悩みって、すごく広いじゃないですか。いじめや不登校も子育ての悩みに含まれると思うのですが、指定管理だと活動内容の仕様が決まっていて、活動の範囲が限定される側面があるんです。そこが難しいところですね。例えば今うさぎっ子クラブが指定管理を受けているのは放課後児童クラブなので、不登校の子たちのために午前中から場所をつくることは仕様の外側になってしまいます。

もともとは子育ての悩み全般を扱っていたのに、指定管理の業務のみが切り出されている。でもうさぎっ子クラブの活動って、そういうものじゃないでしょ、ということで昨年からArc(アルク)を始めました。北本団地商店街内にオープンしたArcは、午前中からスタッフが常駐し、子どもたちの第三の居場所として開放しています。あとは最近言われる貧困問題、子ども食堂にも力を入れています。またこれが人気で。 

双木:「kitchen capra blu」(キッチン カプラブル)という名前で、月に2回開催しています。北本市内でも市外からでも、誰でもウェルカムです。学童を利用しているご家庭や団地の方など、本当にたくさんの方々が集う場所になっていますね。

―最後に今後の展望についてお聞かせください

青柳:理事長になって3年程いろいろな学童を見てきましたが、結局北本が一番いいと思うんですよ。子どもたちにとっても、親にとっても、職員にとっても。だからもう全国展開しようかな(笑)。これは半分冗談、半分本気で。最近学童のコンサルタントを始めたんです。県外の学童なのですが、うさぎっ子クラブで実践した組織改善や発信の強化などのアドバイスを行っています。

あとは、Arcの活動にも力を入れていきたいですね。例えばプログラミングとか、学童でもっと多様な学びができるようになればと思います。公設の学童では、色々な先生を入れ替わり立ち替わりを呼ぶっていうのはなかなか難しいですが、うさぎっ子クラブが自主運営しているArcだと自由が利きます。子どもたちに「こういう世界がある」「こういう職業の人がいる」ということをみせる、経験させることが大事だと思っているので、そこに力を入れたいです。

子育ての悩みは多岐にわたる。だからこそ、活動の範囲を決め切らず、その悩みに寄り添おうとする。うさぎっ子クラブには、設立から50年経った現在も、立ち上げた父母会の想いが受け継がれています。

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